シオンズアイズ

カイルの軍は、昨夜の黄金族人間の奇襲攻撃にあっさりと逃げ出し、ケシアを明け渡したのである。

「なんだよ、拍子抜けだぜ」

アルゴは舌打ちし、マーカスは眉をひそめた。

「苦労して奪取したケシアを、簡単に手放すなどありえない」

「そうよ、あり得ない。シリウスの作戦よ」

香は皆を見回した。

「どういう事だ」

ファルの問いに、香は窓の外に見えるシオンを見つめた。

つられるように皆が、池のほとりに佇むシオンに眼を止める。

「ケシアを侵略した時は、『七色の瞳の乙女』は、この世界に存在しなかった。
だから彼らは犠牲を払いながら自力でケシアを奪い取った。
そしてシリウスは、突如として現れたシオンを拉致した。
その後、ケシアを手放した。
この意味、分かる?」