シオンズアイズ

カイルは身を翻して窓にかけより、ヒラリと窓枠を飛び越えると、瞬く間に豪雨の闇に消えた。

カイル……!

シオンはズキズキと痛む胸に手をやりながら、カイルが消えた窓を見つめた。

カイル、カイル。

ファルがシオンに再び声をかけた。

「シオン、もう行くぞ!香が待ってる」

シオンはファルを振り返った。

「先にリーディックを探さなきゃ」

「白金族の兵士か。ヤツならもう撤退した筈だ」

「リーディックに渡さなきゃならないものがあるの!」

シオンは身を翻して駆け出した。

窓から飛び降り、なんとか立ち上がるとリーディックと別れた馬宿付近を目指した。