シオンズアイズ

「カイル、カイル、しっかりして!」

カイルはそんなシオンを見て、力なく笑った。

「そんな顔しなくていい」

「だって、血が凄くでてる」

「構わない。白金族と黄金族は、殺るか殺られるかだ。僕たちはそういう世界で生きてる」

「嫌だ、死なないで。傷を見せて」

カイルは荒い息の中で首を横に振った。

「ダメだ。君に治して貰ったら……僕は期待してしまう、君の行為に。君の気持ちを勘違いしてしまう」

カイルの顔が土気色に変わりつつある。

「カイル、嫌よ死ぬなんてダメ!私に傷を見せて」

シオンは脇腹を押さえるカイルの手を掴んで無理矢理どけると、眼から溢れる涙を手に取り押し付けた。