シオンズアイズ

カイルは蒼白な顔を上げてユラリと立ち上がると、銀色の剣を再び構えた。

「やめておけ。勝敗は明白だ」

「ほざけ」

「なら、死を以て自分の敗けを理解するんだな」

ファルが軽々とカイルの構えた剣を黄金の棒で弾き飛ばした。

硬い高音が響き、銀の剣が回転しながら床を滑る。

「ファル、やめて!」

走り寄ったシオンがファルの身体にしがみつき、止めをさそうと振り上げた腕を止めた。

「放せ、シオン!」

シオンは夢中で首を横に振った。

「殺さないで、カイルを殺さないで」

ファルは厳しい顔でシオンを見つめた。