シオンズアイズ

「言っただろう」

いぶかしげにカイルが眼を細める。

「ケシアもシオンも返してもらうとっ!!」

言うなりファルは、寝台の下に隠し持っていた壊れたテーブルの木片を黄金に変えた。

な、に!?

「ぐっ……!!」

それでカイルの腹を突き刺し、グイッとにしる。

「ぐああっ!!」

「悪いな、俺は何でも黄金に変えられるんだ」

カイルの脇腹に刺した黄金の棒を、彼の体を蹴って引き抜き、ファルは立ち上がった。

反対に、カイルがよろけて床に膝をつく。

押さえた脇腹から流れ出た血がみるみる服に染み、次第にその面積を広げた。