シオンズアイズ

そうだ、今、私に出来ることは……!!

シオンは目の前の戸棚を開けた。

なにか、ない?!なにか……!!

震える指差に冷たい小瓶が触れた。

これなら、使えそう!

シオンは大きく息を吸うとそれを手に取り、蓋を開けると中身を空にした。

◇◇◇◇◇◇◇◇

「返してもらうぞ。ケシアも、シオンも」

ファルは不適な笑みを浮かべてカイルを見下ろした。

床に膝をつき、低く剣を構えたカイルは、その声を不快に思いながらファルを睨み上げた。

「君じゃシオンに釣り合わない。
短気で単純で、剣の腕も中途半端な王子様じゃね」