シオンズアイズ

兵士は軽く頷いた。

「馬……だいぶ上達したみたいだな」

ゆっくりと歩を進めながら、シオンは気恥ずかしくなって微笑んだ。

「カイルに比べればまだまだだけど」

その言葉を聞いて、兵士は大きく笑った。

「カイル様と比べるのは間違ってるぜ。カイル様には誰も敵わない」

「それもそうね」

「お前も……アーテス帝国に来るのか?」

「…………」

たちまちのうちに影を落としたシオンの顔を見て、兵士は呟くように言った。

「黄金族人間の……リーリアス帝国へ、帰りたいのか?」

「帰りたいと思うほど、その国を好きになった訳じゃないの。でも……」