シオンズアイズ

それに、コイツは頭がいい。

マーカスは、聡明な女が好みである。

「なに?」

自分を凝視するマーカスを訝しく思い、香は眉を寄せた。

「いや、別に」

あ、あいつーっ!!

香に想いを寄せているアルゴは、いち早くマーカスの胸の内を察知し、血相を変えて彼に近づいた。

「マーカス!!」

アルゴの勢いにたじろぐマーカス。

「な、なんだ」

アルゴは焦るマーカスを、ギリギリと歯軋りしながら見据えた。

そんなアルゴの腕をファルが掴み、ズルズルと引きずるように離した。