シオンズアイズ

ファルは、斬り結ぶ度に額の汗が飛び散るマーカスを見て口を開いた。

「な?アイツはまるでか弱くない」

……確かにか弱くはないが……ますます惚れた!

アルゴは、マーカスと剣の音を響かせている香をただただ見つめた。

「マーカス!感覚は掴めた!?」

剣をふるいながらの香の問いに、マーカスは大きく頷いた。

「ああ!これなら、騎馬隊員はすぐ慣れる」

「オッケイ!じゃあ、ここまでにしましょ!」

香はフワッとマーカスに微笑み、ゆっくりと剣をおろした。

マーカスは眼を見張った。

こんなに力強く剣を振るうクセに、頬にまとわり付く髪を細い指先で払いながら微笑んだ顔が、やたらとあどけない。