良かった、腕輪を失ってはいない。

世界樹ユグドラシルの根の下には、過去、現在、未来、そして神々の世界をはじめ、人間界やそれ以外のあらゆる世界がひろがっている。

その世界樹ユグドラシルの根で作られた装飾品を身に着けた者は、その全ての世界を自由に行き来する事が出来るのだ。

アイーダはホッとしつつも、七色の瞳の乙女を見失ってしまった事を悔み、唇を噛み締めた。

ああ、このまま私は一体どうなってしまうのだろう。

守護する者に深手を負わされ、このまま恋しい黄金族人間の王子ファルにも会えず、朽ち果てるのだろうか。

アイーダはギュッと眉根を寄せ、起き上がることも出来ない身体を震わせた。