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「やだ、自分でするから触らないでっ!」

カイルの部屋に、シオンの悲鳴のような声が響いた。

朝の光が部屋に差し込み、それと共に穏やかな風を感じたが、二人ともそれどころではなかった。

「自分でなんか無理だろ。諦めろ」

「自分でやる方が、加減が出来るもん」

シリウスに刺されたシオンの傷の状態を見て、カイルが抜糸しようとしたのをきっかけに、二人の攻防が展開された。

「カイル、痛いのは嫌なの、怖い」

足首に伸びてきたカイルの手をギュッと掴んで、シオンは眉を寄せた。

七色の瞳が真っ直ぐにカイルを見つめる。

カイルがクスッと笑った。

「痛くしないから」