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どれくらい泣いただろうか。

ジュードヘイムの陽は傾き、アヴィの花が閉じようとしていた頃、ようやくアイーダは顔を上げた。

考え、冷静になればなるほどアイーダは、もう自分の恋に見込みがないという事実が理解できた。

その時、ひとつの思いが浮かんだ。

諦めという感情とすれ違い、自分の心に滑り込んできた別の思いに、アイーダは息を飲んだ。

……そうだ、そうしよう。

私にはもう何もない。

もう、何もないのだ。

ファルを手にいれる事も、『魔性』という、永遠の命も。

だとしたらもう、恐れるものなど何もないではないか。