シオンズアイズ

シオンは強く頷いた。

それから少し瞳を潤ませて遠慮ぎみに言った。

「……ファルに、伝えて欲しいの……愛してるって」

香は頬を染めたシオンに眼を見張ったが、フワリと微笑んだ。

「絶対伝える」

その時、入り口の幕から声が聞こえた。

帰ってきた!

香は素早く窓から離れると、這いながら植え込みまで下がり、そこに隠れて耳をすました。

「シオン、シリウス様がシオンとワインを飲みたいと仰ってる」

これが、カイルの声。

「お邪魔するよ。足の具合はどう?血は止まったかい?」