シオンズアイズ

香は唇を噛んだ。

やっぱり、あの時の嫌な感じは、こういう事だったのか。

「今逃げたら、私のせいで香まで捕まる」

確かにそうだ。

「私を……見えなく出来る?」

香は首を横に振った。

「意識のある者に対しては使えないの」

何か、策をたてなければ。

シオンは、真っ直ぐ香を見つめた。

「シリウスは、私を白金族人間の仲間にしたいみたい。私、騙すわ、彼らを。仲間になって、安心させて、それから逃げる。その頃には傷も治ってると思うし」

「シオン……」

シオンはちょっと笑った。

「そんな顔、しないで。私は大丈夫。今度会うときは、馬に乗れるようになってるかもよ」

香は悲壮な顔で頷いた。

「……分かった。必ず助けに来る、ファルも一緒に。それまで、頑張って」