シオンズアイズ

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香はシオンの声を聞き、弾かれたように顔をあげた。

予想通り、屋敷内の警備は手薄だった。

中でも中庭側の、光の漏れるやたらと明るい部屋の前に限り、警備兵は一人もいない。

アルラから聞いたカイルの部屋だと、香は直感した。

部屋がやたらと明るいのは、きっとシオンの七色の瞳を見たいからだ。

七色に光る瞳は極上の美しさで、見る人を魅了する。

香は中庭の植え込みに身を隠しながら部屋の気配を窺った。

シオンの怒りに任せた声の後、何も聞こえなくなり、部屋は静まり返っている。

香は滑るように進むと、窓幕の隙間から中を覗き込んだ。

正面にベッドが見える。

あれは……シオン!