シオンズアイズ

言うや否や身を翻したファルに、アイーダは慌てて着いていった。

ファルは愛馬ウルフの傍に立つと、アイーダを振り返った。

「来い」

これはもしかして。

アイーダは、ドキドキする胸を押さえた。

狼狽えるアイーダを気にかける様子もなく、ファルは彼女の腰に両手をかけると、ヒョイッと馬上に座らせ、続いて自分もその後ろにまたがると、声をかけながら愛馬の腹をクッと蹴った。

アイーダは目眩がした。

背中にファルを感じながら同じ馬に乗り、自分を抱き締めるようにして手綱をさばくファル。

ああ、なんて幸せなんだろう!

この幸せを永遠に手に入れたい!

ファルの傍に一生いたい。