シオンズアイズ

アイーダは、早鐘のような心臓を感じながら、ファルを夢中で見つめた。

一方ファルは、ズカズカと足を投げ出すようにアイーダに近付き、真正面に立つと再び口を開いた。

「途中で王に会って話は聞いた。お前はシオンが何処に居るのか知ってるのか」

「はい」

ああ、愛しいファルが、私を見つめている。

アイーダは、頬を染めた。

「女、答えろ。シオンはどこだ!?」

アイーダは、ファルを見つめて口を開いた。

「……その前に、お願いがあります」

「なんだ」

「私を城で……使ってくださいませ。出来ればファル様のお側で働きとうございます」

「女中長に掛け合ってやる。来い」