シオンズアイズ

……しまった。

アイーダは、背中に冷や汗が伝うのを感じた。

訝しげな門兵の視線が突き刺さる。

「答えろ」

アイーダは、慌てて口を開いた。

「実はその前にエリルの森で、ファル様と七色の瞳の乙女が一緒にいるところを見たのです。
ですから……」

門兵は、唇を引き結んでアイーダを見つめていたが、しっかりと頷いて言った。

「よし、入城を許可する。ただし、お前が情報をお伝えするのはダグダ様だ」

「はい」

アイーダは、小さく息を飲んでから頷いた。

……第一関門は突破した。

後は、どうにかして城内に留まれたら……。

アイーダは、汗にまみれた両手を握り締めた。