シオンズアイズ

この二日前。

「ダグダ様!先程、城門前に女が現れ、どうしてもダグダ様にお会いしたいと!」

リーリアス帝国国王ダグダは、湯浴みの後、香油係に全身をマッサージされ、絹のキトンを着ている最中にこの報告を受けた。

女?

珍しい。

大抵、国民が城門へ押し掛けても、門兵隊長が対処し、事なきを得るのが通常である。

それが、女ひとりの直訴を王の耳に入れなければならない事柄とは。

ダグダは、黄金の糸の刺繍で軍神を描いた立派なヒマティオンをまとうと、威厳のある低い声で告げた。

「通しておけ。すぐ向かう」

ダグダは、長剣を腰に差すと、悠々とした足取りで歩き出した。