でも良いんだ。
僕にだって、大事に思っている人がいるから。
ずっと一緒にいたいと思う人がいるから。
「………」
「…どうしたの氷くん。
あたしの顔に、何かついている?」
「……ううん、何もついていないよ」
「変な氷くん。
まぁ良いや、楽しもうよ。
今回はちっちゃんとキョウくんの劇だって」
「じゃ、急がないとね。
昨日みたいな良い席が取れないから」
運良く昨日と同じ前の方の良い席が空いていて。
僕らはそこに腰かけた。
そして同じく、オープニングが始まる。
昨日はギターなどが使われていると思われる明るい曲がオープニングに使われていたけど。
今日は昨日とは違い、クラシックっぽいゆったりした曲だった。
その間にパンフレットを見た。
…またラブストーリーか。
題名も【何があっても君が好き】なんて…。
どこの少女漫画の題名だよ。
下には昨日と同じ注意書き。
まぁ恭真くんも知紗ちゃんも、仲の良い恋人同士だから。
――――――
監督 神崎澪鵺
助監督 玉置紅羽
照明 相島花菜
久保田総司
――――――
照明が花菜ちゃんと総司くんに変わっただけじゃないか……。