僕が双子の兄である銀と離れたのは、僕らが小学生の頃。
きっかけは単純。
僕らの両親が離婚したんだ。
原因は、父親の浮気。
離婚することは簡単だった。
母親も父親の浮気のせいで愛想尽きていたし。
父親も母親を愛さなくなったから浮気したんだし。
離婚できない原因は、僕らにあった。
どちらがどちらを引き取るか、揉めたんだ。
僕らは当時、今ほど変わりなかった。
ただ、仲の良い、そっくりな双子。
だからこそ、両親は揉めたんだ。
…どちらも平々凡々な、普通の双子だから。
どちらが真面目でどちらが不真面目とかなかったから。
結局じゃんけんにより、僕は父親に引き取られ、銀は母親に引き取られた。
このじゃんけんの結果が、今の僕らだと思うと、運命って怖いね。
何がどうなるか、予測不可能なんだから。
僕は父親と、その浮気相手と一緒に暮らすことになった。
新しい母親は、キャバ嬢。
父親はそこのお客という、ベタな出会いだった。
キャバ嬢の若い母親と再婚した後、父親は消えた。
しかも、数億に上る借金を残して。
ナンバーワンキャバ嬢だった母親に、全て払わせようとする、父親の企み。
その企みによって、父親はわざと母親と結婚したんだ。
本当は父親は、僕らの本当の母親を愛していた。
でもギャンブルにより借金が出来た。
それを愛している妻に払わせたくなかった。
不幸になることが目に見えているから。
だから父親は離婚した。
愛している妻を…守るために。