胸が痛くて苦しくて、最後は声が震えた。

永舜は、部屋に勝手に入った。

杏樹は、永舜を見ずに言った。

「ダメって、言ったじゃん」

ベッドの上で膝を抱いて座る杏樹を見て、永舜は傍に寄った。

「杏樹」

ダメだ。

これ以上話せない。

涙声になっちゃうから。

夕焼けの赤い光が部屋に差しこみ、永舜の銀の髪がキラキラした。

杏樹はベッドから降りて、部屋を出ようとドアまで歩み寄った。

「待て」

永舜が素早く杏樹の腕をつかんだ。

「やだ」

「俺が嫌いか」