ひとりの部屋で、杏樹は思った。

もう、はっきりと分かった。

今日美雨が来て、分かった。

私は、永舜のことが好きなんだ。

どうしよう、どうしよう!!

人じゃない相手に恋したら、どうなるの?

それに、美雨は絶対永舜を気に入ってる。

杏樹は胸が苦しくて、何度も大きく息をした。

苦しい。

苦しい。

「杏樹、入るぞ」

杏樹は慌てて返事をした。

「だめ」

「なぜだ」

「だめ、なの」