恋する白虎

共通の話なんてなかったけど、私の話を静かに聞いている永舜は落ち着きがあって、頼りがいがありそうで、穏やかな感じで…。

…て、そんな事、言えないわ。

「わ、忘れた」

我ながらなんて言い訳なのかしら。

永舜は、ちょっと眉をあげた。

忘れた、だと?

「そ、それに、今のは忘れてって言ったでしょ?無かったことにしてって」

そんな事、出来るか。

永舜は椅子から立ち上がると、キッチンから出ていこうとした杏樹の腕をつかんだ。

「杏樹」

杏樹は、ぎこちなく永舜を見つめた。

「な、に」