恋する白虎

「全部だ」

杏樹は息を飲んだ。

「そ、そんなの、ずるい…!」

「ずるくても、いい。
俺は今、おしゃべりしている気分じゃないんだ」

永舜がそう言うと、杏樹は僅かに頬を膨らませて、彼の瞳を覗き込んだ。

茶色の瞳が潤んで光り、永舜はドキッとして杏樹を見つめた。

途端、

「永舜、大好き。だから」

フワリと花のように杏樹が笑った。

「抱いて」

杏樹……。

永舜は、杏樹に頬を寄せて囁いた。

「愛してる」

ふたりは見つめ合って微笑んだ。

西天に降り注ぐ輝く雨は、しばらくの間続き、辺りを虹色に変えた。


ーおわりー