恋する白虎

赤くなる杏樹を気遣かったリンに、たしなめられるように名を呼ばれたが、永蒼はケロリとして永舜を見た。

「なんの用だ、兄上」

永蒼は、ユラリと体を起こし、打って変わって真剣な眼差しを永舜に向けた。

「父上から聞いたか?鴆が来るぞ」

永舜は、憂うつそうに頷いた。

「ああ、聞いた」

リンは二人の会話を聞いた途端、こんな恐ろしいことはないといったように自分の二の腕を抱き締めて身震いした。

杏樹は不穏な空気を感じて眉をひそめ、遠慮がちに尋ねた。

「あの、鴆(ちん)って、何ですか?」

永蒼はフーッと息を吐くと、腕を組み直しながら口を開いた。