恋する白虎

「お前は確かに記憶を無くしたが、大した事じゃない。
……これからを、ふたりで始めないか?」

これからを、ふたりで……?

息がかかりそうな距離で低く囁かれ、杏樹はドギマギして俯いた。

な、なんて言ったらいいんだろう、こういう時は……。

そんな杏樹を見て、永蒼はニヤリと笑った。

「うんって、言え」

言いながら頬を傾けて杏樹に顔を近寄せる。

唇が触れ合いそうになった瞬間、杏樹がビクッとして身を引いた。

「あ、あの、私、そろそろ戻ります。
エイシュンさんが、私は病み上がりだって言ってたし」

いいところで永舜の名が出て、永蒼は不満そうに言った。