恋する白虎

窮奇は胸の中の何かが、ガシャンと音をたてて壊れた気がして、思わず眉を寄せた。

「ダメだ、お前を永舜には、渡さねぇ」

「窮奇……」

杏樹は立ち上がり、窮奇に近づいてその手を取った。

「窮奇、ごめんね」

「謝るな!ダメだ、お前を誰にも渡さねぇ!俺と、ずっといろよっ」

「窮奇……」

その瞬間、杏樹が咳き込み、口から血が滴り落ちた。

グラリと傾いた杏樹の体を、咄嗟に窮奇が抱き止める。

「杏樹!?おい、杏樹!?」

ダメだ、力が入らない。

杏樹は、永舜を思い出していた。

もう一度永舜に、逢いたかった。