勝手に百人一首

「私と一緒に逃げてくれる?


レイモンド。



私は、あなたと生きていきたいの」







エレティナは凛とした面持ちで、まっすぐにレイモンドを見た。






明るさを増してきた朝の光に照らされた、強く美しい恋人を、レイモンドはやはり呆然と見つめ返す。






「………後悔、しないのか?」






ぽつりと訊ねる言葉に、エレティナは少し複雑そうに眉を下げてから、ゆったりと微笑んだ。






「………するわ、きっと。


王宮を捨て、家族を裏切り、国を危機にさらすんだもの。


絶対にいつか、後悔する日が来るわね」






「……………」







レイモンドはごくりと唾を飲み込んだ。




「だから逃げるのはやめる」と今にも言い出すのではないかと、自分で訊ねておいて不安になった。






しかし、エレティナは強かった。