勝手に百人一首

これ以上ないほど苦しげに吐かれたレイモンドの言葉に、しかしエレティナは、心底驚いたように「まぁ」と声を上げた。







「どうしてそんなことを言うの?


あなたは私と離れるつもりなの?



それに、命が惜しいだなんて、当たり前じゃない。


あなた、もしかして死ぬつもりなの?」







幼い子どもが無邪気に訊ねてくるような口調だった。





レイモンドは意表を突かれて、目を見開いたままエレティナを見つめ返す。







「………いや、だって。


神殿入りする王女に手をつけたとなれば、俺は大罪人だ。

死刑は免れないだろう?」






「あら、そんなの」







エレティナが悪戯っぽく笑う。







「あなた一人の罪なんかじゃないわ。

私も望んだことじゃないの。


それに………ばれなければ平気よ」