勝手に百人一首

エレティナに逢えるのならば、この命捨てても惜しくはない。




そう思って、一世一代の覚悟で、死をも覚悟して王宮に忍びこんできた。





運よく門番にも怪しまれず、後宮の衛兵にも見咎められずにエレティナの部屋まで辿りつけたから良かったものの、もし見つかっていたら今ごろ命はなかったかもしれないのだ。




それでもエレティナに一目でも会いたくて、ここまでやってきた。




そして、その願いが叶った。




それだけで充分なはずだったのに。






人とは欲深いもので、一度手に入れてしまった幸福は、容易には手放せないほどに甘美なものだった。





レイモンドは唐突に、命が惜しくなった。



死ぬのが怖くなった。




なぜなら、エレティナともう二度と逢えなくなってしまうからーーー