勝手に百人一首

苦しげな吐息とともに言ったレイモンドを、エレティナは目を丸くして見つめる。






「まぁ、なぜ?


私はあなたのものになったし、あなたも私のものになったのに」







レイモンドは悲しげに首を横に振った。







「俺は、それだけでは満足できなくなってしまった。



エレティナが神殿入りする前に、たった一度でも触れることができれば、それで満足だと思っていたのに。


この恋を一度でも叶えることができれば、この命を失っても、もう二度と君に逢えなくても、俺は幸福に死んでいけると思っていたのに。



………だめだ。

俺は、命が惜しくなってしまった。


君と離れたくない、君と一緒に生きていきたい。


そんな我儘な思いを抱くようになってしまった………」