勝手に百人一首

ぐっと腕に力を込めたレイモンドの気配を感じて、エレティナは小さく唸って目を覚ました。






「………おはよう」






少し照れくさそうに目を伏せてから、エレティナは呟いた。




しかし、喪失の予感からくる悲しみを堪えていたレイモンドは、何も答えることができない。





エレティナは顔をあげ、抱きしめられたまま、怪訝そうにレイモンドの顔を覗き込んだ。






「………どうしたの、レイモンド」





「………切なくて、悲しくて、苦しい」






レイモンドは素直に自分の心を吐き出す。




その言葉を聞いて、エレティナは眉根を寄せた。






「なぜ、悲しいの?


私はとっても幸せなのに………」






「幸せだけど、苦しいんだ。


君を失うと考えただけで………」