勝手に百人一首

「ねえ、千里ちゃん。

男子たちの話、聞いてた?

今井くん、千里ちゃんのことさ……」






美香ちゃんが興奮したように言ってきた。



あたしはつとめて平静を装って、興味なさげな態度を崩さない。






「あー、なんか言ってたね。

でも、あんなの、男子が勝手に騒いでるだけでしょ」





「でもさ、確かに最近、千里ちゃんと今井くん、よく喋ってるじゃん」





「いや、あれはただ、ね。

あたしが録画ミスっちゃったドラマ、たまたま今井くんが録画してたからっていって、貸してくれて。

それからちょっと喋るようになっただけで」





「ふうん~?」






二人はにやにやしながら顔を見合わせた。