「おい、そこのアホ」 ……………ん? 今、なんか、声がしたような………。 あたしは思わず、体勢を立て直し、手すりをぎゅっと握りしめた。 そして、きょろきょろと首を巡らせて、声の主を探す。 でも、あたしの視界に映るのは、大都会の明るすぎる夜景だけ。 「…………?」 じゃあ、いったい誰の声? あ、もしかして、天国からあたしを迎えにきた天使? 「おいクソバカ、下だ下」 「………はい?」