勝手に百人一首

あたしが一気に言うと、ユウジがゴクリと唾を呑み込む音が聞こえた。







「…………死ぬ前に、ユウジにもう一回だけ会いたい。

それを思い出にして、あの世に行くの。


ねぇ、ユウジ。

もう一回だけ、会いたい。


会ってくれる?

これが最後だから………」







《………は、おい、楓………》
















「……………とか、思ってたけど」







あたしは、ふっと笑った。








「なんかもう、どーでもいいや」







ほんとに、どーでもよかった。





佐藤が隣で、ぷっと噴き出した。





あたしもくすくす笑う。







「ユウジなんてさ、結局、その程度の男だったんだよね。

あたしに隠れて他の女の子と会って、こそこそ浮気して、でもあたしの前では優しい顔して機嫌とって。


別れ話になっても優しい振りして、ほんとは、はっきり言うのが面倒くさいだけなんでしょ?」