勝手に百人一首

なるべく平坦な声で言った。




佐藤が軽く目を瞠る。




もう一度、ぎゅっと握り返して、あたしはさらに言った。







「ベランダから飛び降りて、死ぬ。


ユウジに捨てられたら、あたしもう、生きる意味ないもん。


もう無理、耐えられない。

ユウジがいない人生なんて、やっぱり無理。


だから、死ぬね」






《………楓、なに言って………》






「本気だよ?

だって、ほんとにあたし、さっきまでベランダの手すりに乗ってたんだもん。


でも、最後にユウジの声ききたくて……」






《………マジで、言ってんの?》






「うん。ユウジはあたしの全てだから。

捨てられて一人で生きてくくらいなら、死んだほうがまし。


だから………最後に一つだけ、お願い聞いてくれる?」