勝手に百人一首

かえで、とあたしの名前を呼ぶ、大好きだったユウジの低い声。




きゅう、と胸が締めつけられるような気持ちになった。






「………急に、ごめんね。いま大丈夫?」





《あぁ、うん………大丈夫》






ユウジはやっぱり、こんな時にも優しかった。




あたしはユウジの優しいところが好きだった。




見た目もかっこよくて、好みだったけど。




大学の学科が同じで、ときどき話すくらいの間柄だったときから、何よりも、やわらかい物腰と優しい笑顔に夢中だった。





少しずつ距離が縮まって、ユウジから「付き合おっか」って言われたときは、泣きそうなくらい嬉しかった。





あたしは6年も前からユウジ一筋だったのだ。