「だから違うっていってるだろ。俺たちはただの同期の」
「じゃあこのまま、真姫が福山くんとくっついても問題はないわね」
「……あいつの勝手だろ」
「そう。なら話しても大丈夫ね」
「何をだよ」
「……あの二人、この間の夜。函館山で夜景見ながらいちゃついて、そのまま帰りに……って噂よ」
「え……」
……静香は、「真姫と福山が函館山に行った」という事実しか知らない。
後の部分は脚色だった。
かなり脚色された話を、圭介に教えた。
……なぜなら静香は、圭介に好意を持っていた。
入学した頃からずっと。
しかし圭介が真姫のことしか見ていないのを、静香は気づいていた。
プライドの高い彼女には、勝ち目のない挑戦はできなかった。
ただ見つめ続け、機会を窺っていたところ。
ここに来て事態は急展開。
新たに登場した福山が、圭介の立場を脅かしつつあった。
このまま真姫が、福山とくっついてしまえばいい。
静香はそう願った。
それを既成事実化して、圭介が真姫をあきらめてくれれば。
嫌いになってくれれば。
真姫さえいなければ……。
そんな願望が生み出した、小さな嘘。
彼女が企んだ小さな嘘という浅知恵が、今後大きなトラブルを引き起こす要因となる……。
「じゃあこのまま、真姫が福山くんとくっついても問題はないわね」
「……あいつの勝手だろ」
「そう。なら話しても大丈夫ね」
「何をだよ」
「……あの二人、この間の夜。函館山で夜景見ながらいちゃついて、そのまま帰りに……って噂よ」
「え……」
……静香は、「真姫と福山が函館山に行った」という事実しか知らない。
後の部分は脚色だった。
かなり脚色された話を、圭介に教えた。
……なぜなら静香は、圭介に好意を持っていた。
入学した頃からずっと。
しかし圭介が真姫のことしか見ていないのを、静香は気づいていた。
プライドの高い彼女には、勝ち目のない挑戦はできなかった。
ただ見つめ続け、機会を窺っていたところ。
ここに来て事態は急展開。
新たに登場した福山が、圭介の立場を脅かしつつあった。
このまま真姫が、福山とくっついてしまえばいい。
静香はそう願った。
それを既成事実化して、圭介が真姫をあきらめてくれれば。
嫌いになってくれれば。
真姫さえいなければ……。
そんな願望が生み出した、小さな嘘。
彼女が企んだ小さな嘘という浅知恵が、今後大きなトラブルを引き起こす要因となる……。