「……何でもありません。苦手分野の出題が続いたのと、あと気の緩みがあったのも事実です」
翌日の放課後、圭介は美月姫を職員室に呼び出した。
12月の北海道は日没が早い。
夕方四時くらいからすでに薄暗い。
この日は敢えて、圭介は美月姫を職員室に呼び出した。
まだ他の教師たちも、多数行き交っている時間帯。
社会科準備室の方が二人でゆっくり話ができるのだけど、それは避けた。
夕闇に包まれた、二人きりの準備室。
衝動的に禁断の果実に触れてしまいそうで、圭介は怖かった。
極力美月姫と二人きりになるのを避けて、自制心を保っていた。
教師と生徒という関係を破壊しようとしたら……待ち受けるのは破滅のみ。
それを十分に認識していた。
「何か、悩んでいることとかあるわけじゃないんだな」
「ありません、そんなこと……!」
美月姫は完全否定した。
「ただ、長く続いた勉強だらけの日々に、うんざりしていたのも事実です」
「そうか……」
圭介は頷いた。
「あまり頑張りすぎたら、試験本番の前に息切れしてしまう。たまに息抜きしたらどうだ? センター試験まであまり時間もないので、そんなに休んでもいられない時期だけど」
「そうですね……。気晴らしも必要ですね」
美月姫は納得したようだ。
「もうすぐクリスマスやお正月もある。時には家族や友人と、楽しいひと時を過ごした方がいいぞ」
このまま大学に合格すれば、美月姫が家族や地元の友人と過ごせるのもあとわずか。
(そばで見守っていられるのも、あと何日だろう)
圭介は一抹の寂しさを感じた。
翌日の放課後、圭介は美月姫を職員室に呼び出した。
12月の北海道は日没が早い。
夕方四時くらいからすでに薄暗い。
この日は敢えて、圭介は美月姫を職員室に呼び出した。
まだ他の教師たちも、多数行き交っている時間帯。
社会科準備室の方が二人でゆっくり話ができるのだけど、それは避けた。
夕闇に包まれた、二人きりの準備室。
衝動的に禁断の果実に触れてしまいそうで、圭介は怖かった。
極力美月姫と二人きりになるのを避けて、自制心を保っていた。
教師と生徒という関係を破壊しようとしたら……待ち受けるのは破滅のみ。
それを十分に認識していた。
「何か、悩んでいることとかあるわけじゃないんだな」
「ありません、そんなこと……!」
美月姫は完全否定した。
「ただ、長く続いた勉強だらけの日々に、うんざりしていたのも事実です」
「そうか……」
圭介は頷いた。
「あまり頑張りすぎたら、試験本番の前に息切れしてしまう。たまに息抜きしたらどうだ? センター試験まであまり時間もないので、そんなに休んでもいられない時期だけど」
「そうですね……。気晴らしも必要ですね」
美月姫は納得したようだ。
「もうすぐクリスマスやお正月もある。時には家族や友人と、楽しいひと時を過ごした方がいいぞ」
このまま大学に合格すれば、美月姫が家族や地元の友人と過ごせるのもあとわずか。
(そばで見守っていられるのも、あと何日だろう)
圭介は一抹の寂しさを感じた。