(綺麗な月……)
眠る前、美月姫は窓から空の月を眺めていた。
月の光を浴びると、なぜか切ない気持ちになるのは以前から。
それはまるで、遠い昔の記憶のよう。
勉強を終え、お風呂に入り眠る前。
カーテンをそっと開いて夜空を見上げるのは、物心付いた時からの習慣。
月の光をこの身いっぱいに浴びると、力がみなぎってくるような気さえする。
そして視線をそらし、机の上の鳴らない携帯をそっと見る。
友人たちからのメールでは、もう心は満たされない。
いつしか胸の奥で消えなくなった優雅への想い。
二人に隙間が生じてから、美月姫ははじめて気づいたのだった。
(私は……いったいいつから)
美月姫はこれまでの歴史を振り返る。
三年生になった時の新学期。
たまたま隣の席になった優雅を、最初は理解不能な宇宙人としか思えなかった。
その後、幾度席替えを繰り返しても、なぜかその都度隣の席になり続けた。
少しずつ会話が増え、彼の素顔に触れる機会が多くなり。
いつぞやのウサギ小屋襲撃事件の折に、決定的に印象が変わった。
そして……真夏の霧の夜、成り行きで重ねた体。
体が一つに繋がっている時でさえ、恋愛感情は抱いていなかったはずなのに。
眠る前、美月姫は窓から空の月を眺めていた。
月の光を浴びると、なぜか切ない気持ちになるのは以前から。
それはまるで、遠い昔の記憶のよう。
勉強を終え、お風呂に入り眠る前。
カーテンをそっと開いて夜空を見上げるのは、物心付いた時からの習慣。
月の光をこの身いっぱいに浴びると、力がみなぎってくるような気さえする。
そして視線をそらし、机の上の鳴らない携帯をそっと見る。
友人たちからのメールでは、もう心は満たされない。
いつしか胸の奥で消えなくなった優雅への想い。
二人に隙間が生じてから、美月姫ははじめて気づいたのだった。
(私は……いったいいつから)
美月姫はこれまでの歴史を振り返る。
三年生になった時の新学期。
たまたま隣の席になった優雅を、最初は理解不能な宇宙人としか思えなかった。
その後、幾度席替えを繰り返しても、なぜかその都度隣の席になり続けた。
少しずつ会話が増え、彼の素顔に触れる機会が多くなり。
いつぞやのウサギ小屋襲撃事件の折に、決定的に印象が変わった。
そして……真夏の霧の夜、成り行きで重ねた体。
体が一つに繋がっている時でさえ、恋愛感情は抱いていなかったはずなのに。



