……。
「今日、中秋の名月だったんだー」
福山が函館にまだ土地勘がないと言うので、真姫が行きつけの居酒屋を紹介した。
「ここ、安くて美味しいんだから」
飲み放題に加え、海産物の美味しい居酒屋だった。
「この辺りは昔から、海産物の売買が盛んだったからね」
乾杯を済ませ、福山がしみじみとメニューを眺めている間に、真姫はジョッキをほとんど飲み干していた。
「強いのは、昔からだね」
「?」
「一気飲み」
その時までにジョッキは、空っぽになっていた。
「あはは……。飲み方が豪快で、男みたいってよく言われるの」
「外見はお姫様なのに」
「やめてよ、お世辞は。おだててもおごりませんからね」
「お世辞じゃないよ、花里さんは……」
「私ね、生物学上はなぜか女だけど、性格は男だってよく言われるんだ」
「そうかな?」
「うん。特に吉野くんなんて、大学仲間の温泉旅行の際、私に嘘ついて男湯を案内したんだよ」
「……あいつはだめだ。悪ふざけにも程がある。このままじゃ花里さんにいずれ危害を及ぼすかもしれない」
「今日、中秋の名月だったんだー」
福山が函館にまだ土地勘がないと言うので、真姫が行きつけの居酒屋を紹介した。
「ここ、安くて美味しいんだから」
飲み放題に加え、海産物の美味しい居酒屋だった。
「この辺りは昔から、海産物の売買が盛んだったからね」
乾杯を済ませ、福山がしみじみとメニューを眺めている間に、真姫はジョッキをほとんど飲み干していた。
「強いのは、昔からだね」
「?」
「一気飲み」
その時までにジョッキは、空っぽになっていた。
「あはは……。飲み方が豪快で、男みたいってよく言われるの」
「外見はお姫様なのに」
「やめてよ、お世辞は。おだててもおごりませんからね」
「お世辞じゃないよ、花里さんは……」
「私ね、生物学上はなぜか女だけど、性格は男だってよく言われるんだ」
「そうかな?」
「うん。特に吉野くんなんて、大学仲間の温泉旅行の際、私に嘘ついて男湯を案内したんだよ」
「……あいつはだめだ。悪ふざけにも程がある。このままじゃ花里さんにいずれ危害を及ぼすかもしれない」



