「心配するな、あぁ見えて総司は好きな女しか手を出さない奴だから、
ただ酒でものみにいったんだろう」


近藤は、大丈夫、と大きく笑いかけてくれる。


「べ、べ、別に、沖田さんがどこでなにしてようと私には関係無いですよっ!」



千秋は頬を赤らめて反論する。


「ははは。まぁ、ここでいるのも何だし、話しながら屯所へ帰ろうか。」





すっかり夜も深くなった紫前町を、近藤と二人並んであるく。


「………で、総司はなぜ怒っていたんだ?」



近藤は、隣で目線だけをこちらにやりながら聞いてくる。


「うーん……よくわからないですが、土方歳三さんが気になる、会いたい、って言ったら怒って出ていってしまいました」



「………」



近藤は、千秋からのその言葉を聞き、少し驚いたあと、にやっと笑った。

「これは……、総司にも恋という名の、春が来たか…?」


近藤は、バシバシ!っと千秋の肩を叩き、嬉しそうに、高らかに、大きく笑い、




ちょうちん色鮮やかな夜道を共に、歩いていったのであった。