「おかえりなさい、斎藤さん、沖田さん」



沖田と斎藤は、巡察を開始してからほんの一時間ほどで屯所に帰ってきた。

屯所の門で二人の巡察の帰りを待っていた千秋。

だが、その格好を見られただけで、驚かれた。





「ただいま、千秋ちゃん………って、なにやってんのその格好」




千秋は、中学生の男子が着るサイズほどの男性用着物を近藤から一着もらった。
そして、ロングの千秋の髪は、ポニーテールにしておいた。

これなら少しは男に見えるだろう………と千秋自身は思っていたが、




「千秋ちゃん何それ、男装ですか?」


沖田は千秋の男装がなってないかのようにケラケラと笑ってくる。


斎藤も、千秋がこんな格好をなぜしているのか分かりかねず、怪訝(けげん)に見つめてくる。

そんな二人の反応にいたたまれなくなってくる。



「そ、そんなに笑わないでください!
女性のままの格好なら、新撰組の風紀が乱れるということなので男装を………」


(似合ってないのかな)
そう思い、しょぼんとしかけた千秋に沖田は近づいてきた。

そして、頭をポンポンとなでた。



「いいや、似合ってるから自信持ってください」

「ああ。」

斎藤も同じようにうなづいてくれる。

斎藤はどうだかわからないが、沖田の口の端には確かに笑みが浮かび上がっている。





「ど、どうもっ」



内心、似合ってるだなんて嘘だあ、と思い、千秋は口を尖らせたのだった。