新撰組綺談~悠月ナ草~






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―――――――闇が街を包む。


…俺の両親は、早くに流行病で亡くなった。


生きるすべもわからなかった頃、

――俺は飢えで死にそうな時に近藤さんに拾われた。



近藤さんがいなかったら今の俺はなかったと言えるだろう。






――――だから、俺は新選組を守り抜くと、近藤さんからもらったこの剣に誓った。




――――――だからこそ俺は



――…俺は。








………近藤さんの為なら命を落としたっていいと思っているんだ



だけど……




なぜ、千秋ちゃんの笑顔を想像すると

こんなにも胸が苦しいのだろう























「総司、剣は持ったな。……行くぞ!!!」



真夜中。







人一人いない紫前町。







月の光に浅葱色の隊服が美しく、揺れる。







剣を刺し





組員を従え




二人の組長と土方……いや、副長は







颯爽と街を駆け抜ける。










―――”人斬り”討伐作戦を開始する――――