新撰組綺談~悠月ナ草~





さくらもちと三色団子の代金は合わせて二十銭。

千秋の元持っていた所持金二十銭で、綺麗に払いきったはずだ。



(あたし、全額確かに払った…!)




「嘘言うな!!!ちょっと裏に来い!!」


店員らしき男性は怒って、人影のない裏手に襟首を引っ張って連れて行こうとする。


(こ、怖いよ…!)



千秋は男の怒気で足がすくんでしまう。



(どうしよう!)





……助けて…沖田さん!





千秋は目をギュッとつむり、


沖田の顔を無意識に思い出した。





来て、


そう願った瞬間。





「―――――ーその手を離せ」