「あのさ、何か怖い不良ぽい男子いるじゃん?
あんまり近づかないほうがいいよ。
万引きしてる、とか噂もあるし。
私たちも全然、話し掛けないから。」

「たしか、谷宮涼太っていう人だよね。」

「えぇ!もう名前覚えたの?
理沙早い!」

「うん。私、わりと覚えるの得意なんだよね。」

「へぇ。そうなんだ。

じゃなくて!

本当に谷宮さんには、近づかないほうがいいよ。」

「う、うん。分かった。」

いきなり親しくなって、すごく楽しい会話だったから、谷宮さんのことなんて気にもとめてなかった。

ただの少し気になる変わった人という認識だった。



ーこのときまでは。