月が一番空高くあがった深夜 開いたままの窓から夜風が吹き込みカーテンがユラユラと揺れる 「……‥‥リリアム、」 真っ白のワンピースを着た女は、月の光を背に立つ“リリアム”と言われる男に一歩一歩近づく ドクン、ドクン、と血液の脈打つ音が、女が近づくにつれて濃く、うるさいほどに鮮明に聞こえる 男は目を閉じたまま深く息を吸い込み次の瞬間、目を開くと男の目は真っ赤になった