「香子…。ここ開けて?」 電話越しで聞くのとは違う、愛しい人の声。 その声に涙が溢れそうになる。 「嫌…。なんで来たの?」 涙声になりながら、必死に拒む。 「なんでって…。あんな別れ方して…俺が納得できると思う?」 「だ、だって…。」 「とにかく、ここ開けて?ちゃんと話そう?」 優しく、けれど有無を言わせない言い方に折れて、ドアを開ける。 すると、なだれ込むように朔が入ってきて、気付いた時には朔の香りに包まれてた。