「 “ねえ、” って呼ばれるたび、どんな思いで、 “コウくん” ってきみの名前を呼んでいたか……」 嫉妬でおかしくなりそうだった。 不安でたまらなかった。 きみに名前を呼んでもらえない理由を聞く勇気のない自分がきらいだった。 いつも、今日こそはってほんの少しの淡い期待を抱いていた。 そしてそれが裏切られるたびに、かなしくて切なくてたまらなかった。 きみの名前を呼ぶのが、時折り、苦しくて苦しくてたまらなかった。 「……もうっ、やだ……っ」 ーーねえ、きみは気づいてくれていましたか。